
秋が伝える「休息の時」
日本は秋の過ごしやすい季節になりましたね。今回は、フィンランドの秋に関するトピックを取り上げてみました。
フィンランドも日本と同様に四季があり、黄色や赤に染まる美しい木々の葉が見られる季節になりました。同時に、フィンランドでは暗い時間が長くなり、「光が失われていく季節」として、心にも体にもチャレンジを感じる人が多くなる時期です。この季節になると、明るい雪景色に変わるまでの期間をどのように乗り越えるかが話題に上ります。
明るい色の服を着る、ウォーキングやジョギングなどに出かけ、できるだけ外の空気に触れる、新しい趣味を始める、お友達と時間を過ごす、温かい毛布にくるまってお気に入りの映画を鑑賞する、ビタミンDのサプリメントを摂取する、などなど。
その中で、少し違った視点からのアドバイスがありました。
「自然は夏の生き生きとした姿から、木々は葉を落とし、草花も大地へと還ります。自然もゆっくりと冬の眠りに向かいます。夏の間、外向きに活動した私たちも「暗さ」の訪れによって歩みを緩め、ほっと肩の荷を下ろし、親しい人たちとの関係においてぬくもりを感じる時。なかなか休むことのできない私たちに、『ペースを落として、休むこと』を促してくれる季節。」 なのだというアドバイスです。
少し寂しさを感じるこの時期は、私たちが倦厭すべき時ではなく、むしろ休息や安らぎに目を向けさせてくれる季節なのかもしれません。自然に逆らう生き方ではなく、私たちも自然界の一部として、自然と歩調を合わせ、少しペースを落としてみる。そうすることで、自然が次なる春の到来時に再び新しい命を得て目覚めるのと同様、私たちにも春にむくむくと芽を出すような新しい力とアイデアが備えられるはずです。
北欧では、夏と冬の日照時間が大きく違います。夏は白夜、冬はカーモスといわれる時期があるほどの違いの中で、自然に合わせて昔の人々の睡眠時間も大きく変化したそうです。
人工の光があふれ、自然のリズムを感じながら生きることが難しくなっている現代の生活。その中でも、秋に少し歩調を緩め、自分自身にしっかりと休息を与えることは、1年を通して捉えた際の自然で健康的なサイクルです。暗闇の中だからこそ、美しいオーロラや輝く満天の星を眺めることができる。季節の移り変わりを肯定的に受けとめることで、心は穏やかさに満たされます。暗闇の中にも光を見い出しながら、内側から湧き上がる幸福感を大切にしていきたいですね。